渡辺建夫さんのトルコのお話、第二弾です。

イスタンブルカフェ

リュシュテムパシャモスク

貴子デンタルクリニック 村上貴子先生からのココカラ話がキッカケとなり、取材させていただいた文筆家 渡辺建夫さんのトルコのお話、第二弾です。

(その2 トルコの見所について)

私自身は、オスマン・トルコ帝国の初期の都だったブルサが気にいっています。古いモスクや昔の隊商宿などの残るこぢんまりとした町で、家族単位で入れる温泉などもあります。
イスタンブールから近く、ちょっと足を伸ばすだけで、静かな古い町並みを散策できます。モスクの壁面にふんだんに用いられているタイルの深い緑色が印象的です。

オスマン・トルコの前のセルジュク・トルコ帝国の都だったコンヤもしっとりと落ち着いたたたずまいを保っています。
イスラーム教神秘派スーフィーの一派であるメブラーナ教団の本拠だったところで、竹の笛と太鼓の音にのってひたすら旋舞しつづけることで忘我の境地にいたることをめざした修行僧たちの姿が今にも現れそうです。
街をゆく男たちの多くがまだ髭をたくわえています。トルコの中でもとくに保守的な土地柄だそうです。

しかし、トルコの見所は、なんといってもイスタンブールの街にはじまり、イスタンブールの街につきる、というのが私の印象です。

ヨーロッパとアジアの交差点に当たり、古代ローマ以来、千数百年にわたって巨大帝国の都だった街。
二大陸の間にのびるボスポラス海峡に面し、エーゲ海と黒海などの海に囲まれた街、いくつもの丘の上に広がる街、丘の頂に古いモスクのドームと尖塔がそびえ、朝夕、お祈りを呼びかけるアザーンの声が響きわたり、市場からさまざまな香辛料のにおいが立ちのぼってくる街イスタンブール。

なんど訪れても飽きるということがありませんが、私のおすすめは、ガラタ橋のたもとから出ているフェリーでボスポラスの海をわたったアジア側にあるハイダルパシャ駅です。
鉄道の始発駅ですが、まるで古い宮殿のように威風堂々とした駅舎で、このなかの小さな食堂が私のお気に入りです。
壁は青を基調とした、おそらくイズニック産でしょうが、古いタイルを張ったイスラム風のインテリア。
入って右手に鰯の唐揚げなどのちょっとした料理がショウケースの中に並び、それをおつまみに、右手の小さなバーのカウンターでビールを頼み、それから年代物のテーブルについて、静かにジョッキーを傾けると、気分はもうオスマン・トルコ帝国末期のオリエント急行はなやかなりし時代へ一直線。
でも、そこでビールをのんだのも、もう何年か前のこと。客の姿もまばらだったこの小さな食堂、まだ生き残っているかなあ。
(文:渡辺建夫)

写真はエジプシャンバザール近くのエミノニュにあるリュシュテムパシャモスク。

写真を提供していただいたのは、キリムとトルコ雑貨のネットショップ「イスタンブルカフェ」http://istanbul-cafe.com/

まだまだ広がるココカラ話。
次はこちらの「イスタンブルカフェ」をご紹介しますね。