貴子デンタルクリニック、村上貴子院長からの8月号でのココカラ話は…。
「旅行が大好き! オーストラリアのウルルが夕陽に染まるところは、本当に厳かな気持ちになります。また訪れてみたい場所の一つです。」
「世界の中心」または「世界のへそ」とも言われるこの地は、オーストラリアの有名な観光地であり、ユネスコの世界遺産に文化遺産と自然遺産を合わせた複合遺産として登録されている世界で2番めに大きな一枚岩は、オーストラリア植民地総監のヘンリー・エアーズにちなんで「エアーズロック」と呼ばれていた。しかし、先住民アボリジニの聖地であったことから、エアーズロックとエアーズロック国立公園の所有権をめぐって裁判となり、1985年に先住民族のアボリジニに所有権が変換された。
現在は彼らの言葉で「ウルル=偉大な石」と呼ばれているこの地域の多くは、現在もアボリジニの聖地として観光客の立ち入りが禁じられている。アボリジニからはウルルに登ることにも多くの反対の声が上がっているが、現地の重要な観光資源でもあり、現在は儀式の日や天候、時間など、様々な規制の合間に登山が認められている状態だ。
砂漠のなかに突如としてそそり立つウルルの美しさ、その神秘性は観光で訪れる我々の胸をも打つ。この風景を間近で見ることを許されていることに感謝し、アボリジニへの敬意をもって観光に出かけたい。
我らが日本の富士山も、古来より霊峰と崇められた美しい山だ。今年世界文化遺産に認められたことで、多くの観光客が訪れることが期待され、また懸念されてもいる。そして現地の人々と観光に訪れる人々の思いは、いつも同じ方向を向いているわけではない。しかし、うつくしい自然がわれわれに与える感動は、きっと多かれ少なかれ誰の胸にも刺さる。
うつくしい自然と現地の人々を敬う気持ち。それが我々観光客の、最低限の持ち物だ。
(文:中高下 惠)