遠藤賢司「44年目のカレーライス」

ニール・ヤングが新作を出せば、“日本のニール・ヤング”遠藤賢司も負けてられない。
(エンケンさんからすれば、ニール・ヤングが“カナダの遠藤賢司”だ!とおっしゃるかもしれませんが)

ということで、遠藤賢司も新作『恋の歌』を発表しました。
(遠藤賢司 『恋の歌』 FJ087 3,000円+税)

遠藤賢司「恋の歌」

遠藤賢司「恋の歌」

「ド・素人はスッコンデロォ!」等のせいか、<怒>、<激情>のイメージもあるエンケン。

でも彼の作る歌には昔から慈愛が込められているのです。

今作『恋の歌』は特にエンケンのやさしい眼差しが感じられる1枚。

エンケンが奏でる叙情的なピアノの旋律に湯川潮音の歌声が融合した美しい⑩「小さな日傘と大きな日傘」。
約14分にも及ぶ弾き語りのタイトル曲⑪「恋の歌」。
女子フィギュア・スケートの二人をテーマにした⑫「真央ちゃんとヨナちゃん」。
それらとは対照的な激情アコースティック・ギターかき鳴らしインスト楽曲もありますが、全体的に穏やかな風が吹いている全12曲。

今日のこの1曲は、感動的な歌詞が印象的な1曲目「44年目のカレーライス」。

遠藤賢司70年代からの代表曲「カレーライス」はもちろん名曲ですが、更に熟成された味がこの「44年目のカレーライス」にはありますね。

♪悲しんでる暇もないくらい気の好い音楽仲間や友達が次々と死んじゃうよ。
でも次は僕じゃないよ。なおさら命を張って音楽だけは頑張るよ。♪
(「44年目のカレーライス」歌詞より)

郷愁だけでなく、前向きな決意表明をも感じさせる新たなカレーライスの誕生です。

(文:森 陽馬)

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