kalafinaベスト盤同時2枚リリース!

kalafina「THE BEST “RED”」「THE BEST “BLUE”」

数あるアニソンの中にあって、歌い上げない、媚びない、語尾を丸めない、シャウトしない、しかし、確実にメロディ以上の音楽を視覚的にも伝える「kalafina」は、異色の存在だろう。それでも、例えば、「魔法少女まどか☆マギカ」のエンディングテーマ「Magia」を、楽しげ(楽しげな曲調でなくても、あの複雑なハモりを決めるのは楽しいらしい)にカラオケでハモる女の子は沢山いたし、「Fate/Zero」のオープニングテーマ「to the begining」を鼻歌で歌いながら仕事をする女性の姿も見たことがある。そんな風に親しみやすいメロディだったりもして、それはアニソンとしての機能を立派に果たしているということでもある。

 

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梶浦由記による独特なメロディラインは、3人のボーカリストによるハーモニーで更に複雑化するのだけど、複雑になるのは響きだけで、メロディライン自体はむしろハッキリするという不思議。不思議といえば、そんな風に複雑にからみながら、歌い上げているわけではないのに、その歌声は編んだ縄のように太く、強くなっていく。それは、もちろんボーカルのテクニックでもあるのだけど、それ以上に、和音の積み重ね方と声の積み重ね方に拠る部分が大きい。和声の梶浦とは良く言ったものだと思う。そうやって生まれる、複雑な響きで一本調子にならない、しかし親しみやすいメロディー。

今回、初のベストアルバムである「THE BEST “RED”」と「THE BEST “BLUE”」の二枚を聴いて思うのは、一曲一曲の楽曲としての力強さ。例えば、kalafinaの結成のきっかけでもある「劇場版空の境界」のための数々の楽曲は、既に発売されている同映画のサントラで聴くことが出来るのだけど、「空の境界」という作品を離れ、独立した楽曲として聴くと、全く印象が変わる。「空の境界」という作品全体を貫く流れは失われるが、その代わり、「ARIA」(劇場版「空の境界 第四章 伽藍の洞」主題歌)のメロディの奥にある明るい光や、「Seventh Heaven」(劇場版「空の境界 第七章 殺人考察(後)」主題歌)の、物語が一段落した中で聴く落ち着いたムードとは違う不穏な空気など、今まで聴こえなかった楽曲の形が見えてくる。

 

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初回生産限定盤 kalafina「THE BEST “RED”」SECL-1530〜1531 (Blu-ray A 付)
¥4,000- + 税 2014.7.16リリース

 

Kalafina「THE BEST (Blue)」(初回生産限定盤)SECL15321533

初回生産限定盤 kalafina「THE BEST “BLUE”」 SECL-1532〜1533 (Blu-ray B 付)
¥4,000- + 税

 
「THE BEST “RED”」と「THE BEST “BLUE”」の二枚がリリースされるのだけど、それぞれの違いは、「RED」には「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語」主題歌である「ひかりふる」が入っていて、「BLUE」には、テレビ版のエンディングテーマである「Magia」が入っていると言えば分かりやすいだろうか。新曲「prelude」から始まる、どちらかというとポジティブなムードの「RED」、厳かなムードや梶浦由記ならではの教会音楽的なコード進行の曲が多い「BLUE」には、新曲「heavenly blue」を収録。この新曲は、7月スタートの、あおきえい監督・虚淵玄脚本(つまりFATE/Zeroのコンビ)のTVアニメ「アルドノア・ゼロ」のオープニングテーマだ。

個人的なハイライトは、「RED」では、「みんなのうた」で放映された、陽気なジプシーの舞踊曲のような「Moonfesta 〜 ムーンフェスタ 〜」と、梶浦コード進行がハードロック的に展開する「音楽」、「BLUE」では、新曲はもちろん、アニメ「Fate/Zero」の18話、19話(衛宮切嗣の過去編ですね)のエンディングテーマとして印象的だった「満天」の明るくて悲しい旋律、動かないコードと呪術的なリズムでニューウェーブ風に展開する「signal」あたりか。「RED」「BLUE」通して聴いても、全く聴き飽きないのは、どの曲にも、アイディアが詰め込まれているからだし、それをさりげなく聴かせる声の魅力も大きい。曲の展開に応じて様々に役割を変えながら、うねるようなハーモニーを聴かせる、そのスタイル自体、ほぼ唯一無二だから、そうそう聴き飽きるものではない。そして、いつのまにか鼻歌になってしまったりもするのだ。ずーっと聴いてしまうから。

(文:納富廉邦)

 

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