伊東ゆかりがイタリアのサン・レモ音楽祭に出場し、「恋する瞳」を歌って入賞したのは1965年1月のこと。
その彼女が帰国後、所属のキング・レコードで録音し5月に発表したのが、この『サン・レモのゆかり』です。
(国内CD SWAX-1020 2,700円+税)
当時出たままに紙ジャケット仕様で復刻され、裏ジャケはサン・レモでの彼女の様子がわかる写真日記のようなデザインが小さいながらも再現されているのがうれしいところです。
内容はアルバム・タイトルからも想像できますが、その年に他の歌手が歌って入賞した「君に涙とほほえみを」、「花咲く丘に涙して」や、ジリオラ・チンクェッティで知られる「ナポリは恋人」、「アリヴェデルチ・ローマ」、そして僕のフェイヴァリット曲「砂に消えた涙」等、カンツォーネの名曲が収められています。
それにしても慣れない異国の地イタリアの音楽祭で17歳という若さで入賞を果たした伊東ゆかり。
当時中学生だった僕は、オリンピックで日本人がメダルを獲ったと同じように声援を送りたい気持ちでした。
「恋する瞳」は日本語とイタリア語の混じった歌のものと、イタリア語のみの歌唱の2ヴァージョン収録。
アルバム全体を素晴らしいアレンジで仕上げたのは東海林修です。
文:森 勉
ペット・サウンズ・レコードの店長。ビーチ・ボーイズをはじめとしたアメリカンポップスを中心に、さまざまなジャンルの音楽に対して豊富な知識をお持ちです。街のCD屋さんとして店頭で接客する一方で、ライターとしてレコード・コレクターズ誌など、さまざまな媒体へも寄稿。ファンからもミュージシャンからも、業界関係者からも厚い信頼を寄せられています。