竹内まりや「シェットランドに頬をうずめて」

竹内まりや『ヴァラエティ』

竹内まりや『ヴァラエティ』

竹内まりや『ヴァラエティ』が30周年記念盤として最新リマスター&ボーナス曲も追加されて再発されました。
(WPCL-12007 2,200円+税)

1978年11月デビューした竹内まりやは、その時代たまたまアイドル不在の時期だったために、その代わりをしながらの活動をせざるを得ない状況を強いられていました。スケジュールびっしりのアーティストを管理するノウハウが欠けていた部分もありました。

約3年の活動でオリジナル・アルバム5枚にベスト1枚、シングル9枚を発表。
テレビ、ラジオ、雑誌などにも頻繁に登場していました。

途中、精神的にも肉体的にも不調をきたしたことがあったようですが、一般的にはそんな姿を全く見せずに頑張っていた、ということが後でわかり、我々ファンは胸を痛めたりしました。

そんなことがあった彼女が休養、山下達郎との結婚をはさんで1984年4月発表したのが『ヴァラエティ』でした。

以前は他の作曲家の作品を歌うことが多かったのですが、このアルバムは全曲が竹内まりや作詞・作曲。
アルバム・タイトル通り、まさにヴァラエティな曲調が集まった1枚。

1曲1曲が変化に富んでいて、多様性があって、でも無理をした感じがしない(これ大事!)。
ナチュラルに竹内まりやという音楽家の凄さを見せてくれました。

その色々な曲調の楽曲を見事にアレンジしたのが山下達郎。
様々な手法と得意技(1人多重コーラス、ギター・カッティングなど)を駆使しての楽曲をいかすアレンジは見事としか言いようがありません。

この『ヴァラエティ』は1984年の時点で新しい竹内まりやが聴ける作品と同時に、新しい山下達郎を感じられるものとなりました。

さて、今日のこの1曲はベスト盤に入らない曲の中に大好きな歌が多いので「シェットランドに頬をうずめて」。
まりやさんの心優しさがにじみ出た名曲です。

なお、この『ヴァラエティ』は私・森勉が選ぶ1980年代日本ロックのベスト・ワン・アルバムです。
詳しくは、当店オリジナル作成の『ヴァラエティ』30周年記念リーフレットにて。

文:森 勉
ペット・サウンズ・レコードの店長。ビーチ・ボーイズをはじめとしたアメリカンポップスを中心に、さまざまなジャンルの音楽に対して豊富な知識をお持ちです。街のCD屋さんとして店頭で接客する一方で、ライターとしてレコード・コレクターズ誌など、さまざまな媒体へも寄稿。ファンからもミュージシャンからも、業界関係者からも厚い信頼を寄せられています。

http://www.petsounds.co.jp