ボブ・ディランの新作は、<フランク・シナトラが取り上げていた曲を歌う!>というアルバム。
(国内CD ボブ・ディラン『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』 解説・歌詞・対訳付 2,400円+税)
まず聴いてビックリしたのが、バック・サウンドのシンプルさ。
リズム・トラックはほとんど入っていない!と言っても過言ではありません。
チャーリー・セクストン(g)やトニー・ガルニエ(b)も参加していますが、バック演奏の主はドニー・ヘロンによるペダル・スティール。
そのスティールの音色が作品全体のレトロな魅力を醸し出しています。
そして更にビックリなのが、ディランの歌声。
2009年クリスマス作のような潰れたダミ声ではなく、歌詞が聴きとれるくらいハッキリとした歌いっぷり!
今作は名エンジニア、アル・シュミットがミックスを担当していますが、一発録りで録音した音を聴いたディラン本人が、「こんなにいい音でぼくのヴォーカルが聞こえるのは初めてだ」と驚いたほど。
(上記コメントは、菅野ヘッケルさんによるライナーノーツから引用)
わずか35分/全10曲ですが、ニール・ヤング2014年作『A Letter Home』と同様、聴き込むほどに味わいが出てきそうな上質なヴォーカル・アルバムですね。
今日のこの1曲は、ブライアン・ウィルソンもカヴァーしている「That Lucky Old Sun」。
トランペット、トロンボーンが入っているものの仰々しくなく、ディランの歌声に優しく寄り添っています。
ちなみに、国内盤の菅野ヘッケルさんによるライナーノーツは、詳細な楽曲解説に加えタイトルや選曲など様々な推察や細かいデータが記されており、作品の深みをより感じることができました。
文:森 陽馬
武蔵小山生まれ武蔵小山育ちの「ペットサウンズレコード」の「おにいさん」。店頭で、こんな音が好き!というと、いろいろ新しいものを紹介してくれますよ。ココカラ本誌では「毎日がGOOD MUSIC〜むさこ駅前狂騒曲〜」を連載中!
★<ペット・サウンズ・レコードが選ぶ2014年ベスト・アルバム> 更新しました。