さあ、ポール・マッカートニーの新作です。ビーチ・ボーイズの新作が出た時もひっくり返りましたが、この大ベテランがこの音を出してくるか!という…。成してなお、あたらしいことに挑み、最高傑作を作ろうとする、その姿勢に刺激を受けます。(編集部)
ポール・マッカートニー来日公演を前に久々の新作が発売されました。
(『NEW』 UCCO-3048 国内盤ボーナス・トラック3曲追加 2,600円)
「これは“バック・トゥ・ザ・ビートルズ・アルバム”なんだ!」と、ポール自身がインタビューで公言している今作。
アルバム発売前に公式サイトで公開されたリード曲「NEW」には、ビートルズ「All You Need Is Love」を彷彿とさせるハープシコードが使われており、まさにビートルズ的な1曲でしたが、ビートルズっぽいのはその曲くらいで、アルバム全体的には現代の音に呼応したポールらしい作品ですね。
アデル等で有名なポール・エブワース、エイミー・ワインハウスを手掛けたマーク・ロンソン、ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティン、グリン・ジョーンズの息子イーサン・ジョーンズなど、現在活躍している旬な若い世代のプロデューサーを起用。
音はビートルズ的でなくても、精神的な意味合いで“バック・トゥ・ザ・ビートルズ・アルバム”なのでしょうね。
正直言って最初聴いたときは多少戸惑いましたが、聴き続けていたら違和感がなくなりました。
ギターの逆回転やサンプリングを使ったりと、71歳にして守りに入ることなく攻めている感じが伝わってきます。
今日のこの1曲は、今回のツアー・タイトル“Out There”の意志が込められた⑧「Everybody Out There」。
前に進んでいこうとするポールの気概が感じられますね。
(文:森 陽馬)