佐藤良成と佐野遊穂によるユニット、ハンバートハンバート2014年発表新作『むかしぼくはみじめだった』。(国内CD DDCB-14023 2,700円+税)
今作はカントリー界の重鎮ティム・オブライエンプロデュースによるアメリカ/ナッシュビル録音。
土着的なカントリーと清いブリティッシュ・トラッドをブレンドしたサウンドに、日本語の情緒を盛り込んだ奥深い歌が魅力のハンバートでしたが、そのハンバートらしさは変わらず、音空間がより広がった感がありますね。
二人の凛とした歌声はよりまっすぐにこちらへ届いてきます。
1曲目「ぼくのお日さま」は吃音の人の苦悩が歌われた楽曲ですが、言いたいことが伝わらないもどかしさ/伝えたいことが言葉に出せない気持ちは、現代の誰しもが感じていることだと思います。
カントリーの聖地ナッシュビル産のサウンドながら、日本人の心、そして日本語の響きが見事に融合した1枚。
(文:森 陽馬)