【mono書き 005】三菱鉛筆「シグノRT1」

 

三菱鉛筆「シグノRT1」

三菱鉛筆「シグノRT1」

三菱鉛筆「シグノRT1」(150円)

「書き味」という言葉はおかしなもので、例えば「書き味が良い」という言葉は、あまりに何も言っていない。「書き心地が良い」も、そうだ。何となく分かるような気分にはなるけれど、「どんな味なのか」「どんな心地なのか」の説明無しに、良いと言われても困ってしまう。そもそも、書き心地ならまだしも、書き味って何だ、とも思う。「柔らかい書き味」って、でも、柔らかいというのは味に対する表現じゃないし。言うんだったら、甘い書き味とかなのだろう、正しくは。でも、書き味が甘いって言われても、分からない事には変わりはない。

そうではなくて、例えば、「細い文字がカリカリせずに書ける」とか、「インクが紙に染みるのではなく、しっかりと貼り付く感じ」とか、「だから、指で擦っても大丈夫だし、水にも強い」とか、「ブルーブラックのインクの発色がとにかく好みだったので、他の色を買ってみたら、どれも発色がクッキリしていて見やすかった」とか、「書いた文字の発色が良いと、細い文字でも見やすいので、すいすい書き進められる。字を書く際に、書いた文字が見やすいというのは、重要だということに気がついた」とか、いや、全部、三菱鉛筆のゲルインクボールペン「シグノRT1」の事なんだけど、そんなこんなで、全部合わせて「書き心地が良い」と呼びたいなら呼べばいい。

(文:小物王 納富廉邦)