【mono書き 009】ペーパリー「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e」

ペーパリー 「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e」 「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e弐」

ペーパリー
「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e」
「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e弐」

ペーパリー「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e」「カミテリア Ku-ru-ru ukiyo-e弐」各800円(税別)

カミテリア ku-ru-ruという製品の凄さ、面白さは、言わずもがなだろう。「嵐にしやがれ」にも出たし。細長いメモ用紙が、くるりと丸めて切り込みに差し込んだりすると、何とペーパークラフトのように、3Dの飛び込むイルカとか、煙突に突っ込むサンタクロースとか、パンダの群れとかになるというアレだ。

そのシリーズの中に「ukiyo-e」という、葛飾北斎の富嶽三十六景を立体化してしまうシリーズがある。これ、実は凄い事で、何が凄いかと云うと、元々、浮世絵というのは、基本遠近法を使わず(後半、浮絵という透視型遠近法を敢えて使うタイプの浮世絵も登場するが)、輪郭線でモノを表現しつつ、平面構成で見せるスタイルが特長なのだ。そこに、無理矢理遠近法を持ち込んで立体化して、それが不自然にならない。「ああ、富嶽三十六景だな」と思える仕上がりになっているのだ。横構図が基本の富嶽三十六景を、縦構図で見せたり、自由にトリミングしたりしていて尚、それが富嶽三十六景にしか見えない。それは、北斎が見ていたかもしれない遠近感まで再現しているようだ。

(文:小物王 納富廉邦)