ヴァン・モリソン「Every Time I See A River」

ヴァン・モリソン『Keep Me Singing』

ヴァン・モリソン『Keep Me Singing』

ヴァン・モリソンの魅力は何でしょうか?

1964年結成したバンド、ゼムで「グロリア」をヒットさせたのが1965年。
以来50年超にわたって、多くの人を魅了してきたアイルランド/ベルファスト出身シンガー、ヴァン・モリソン。

ソウルフルな歌声。
味わい深いサウンド・アレンジ&演奏。
枯れることのない優れたソングライティング。
深遠な詞世界。

その全てが独自の魅力であるのは確かですが、僕が彼の音楽を好きな理由の1つは<哀>の表現です。

「Take Me Back」(『オーディナリー・ライフ (Hymns To The Silence)』収録)における純粋な心への<哀>。
「Cyprus Avenue』(『アストラル・ウィークス』収録)における郷愁の<哀>。
「Crazy Love」(『ムーン・ダンス』収録)の狂おしい愛を表した<哀>。

ヴァン・モリソンが描く喜怒哀楽の中の<哀>には、聴く毎に心揺れ動かされるものがあるのです。

本日入荷したヴァン・モリソン36作目となるアルバム『Keep Me Singing』は、その<哀>と<愛>が見事に表現された素晴らしい1枚。
(国内CD 大鷹俊一氏による解説・歌詞・対訳付 ステッカー封入 HSU-10092 2,490円+税)

特に名作詞家ドン・ブラックとの共作による2曲目「Every Time I See A River」。

♪川を見るたび 電車の音を聞くたび 悲しい歌を聴くたび ふたりがむかし持っていたものを思い出す
~もうこれ以上耐えられない 痛みに耐えられない あの場所へ戻ったような気がして 川を見るたびに♪
(「Every Time I See A River」歌詞より)

今はいなくなってしまった愛する人への切ない想いが綴られた<哀>。
淋しいけれど、心の中にある温かな何かが刺激される名曲。

 

文:森 陽馬
武蔵小山生まれ武蔵小山育ちの「ペットサウンズレコード」の「おにいさん」。店頭で、こんな音が好き!というと、いろいろ新しいものを紹介してくれますよ。ココカラ本誌では「毎日がGOOD MUSIC〜むさこ駅前狂騒曲〜」を連載中!

PETSOUNDSロゴ