tacica「LEO」

 

tacica「LEO」初回限定版

tacica「LEO」初回限定版

◆初回生産限定盤
「ハイキュー!!」 描き下ろしイラストジャケットスリーヴ仕様
カップリングに「LEO(TV edit)」 を収録
SECL-1577 1,400円
1.LEO
2.鈍色の避遁
3.LEO(TV edit)

 

tacica「LEO」通常盤

tacica「LEO」通常盤

◆通常盤

カップリングに、tacica自主制作時代の幻の楽曲 「anaphylaxis」 リテイクを収録。
通常盤初回仕様おまけ 『tacica「LEO」特製コード譜』封入
SECL-1578 1,400円
1.LEO
2,鈍色の避遁
3 anaphylaxis

 

アニメ「ハイキュー!!」第二期オープニング曲、スキマスイッチの「Ah Yeah!!」は、映画「ピンポン」の主題歌、SUPERCAR「YUMEGIWA LAST BOY」あたりから、スポーツものの主題歌の定番となった、疾走感のあるテクノ風のリズムの上にハウス風のシンセと優しいメロディが乗るスタイルの集大成的な曲になっている。基本のリズムはそのままに、うまく身体性をボーカルに乗せるのは、スキマスイッチの得意技とも言えて、楽曲としての独立性を保ちながら、見事に高校バレーボールアニメの主題歌になっている。

それに対して、エンディングテーマ、tacicaの「LEO」は、似たようなリズムを持ってくるという、アニメのテーマ曲の方法としてはかなり冒険的なスタイルながら、どこか躓くような印象を与えて、そこに前をしっかり向いているのに内省的という歌詞を、やはり流れるようにとは言えない、少し逡巡するようなメロディに乗せている。だから、きちんとエンディングテーマになっていて、その「爽やかでない」感じが、決してスムーズに物語が進まない、アイディアや考えをぶつけ合うような「ハイキュー!!」という物語ととてもうまくリンクする。

「ナルト」「宇宙兄弟」と、tacicaがこれまで手がけてきたアニメのテーマソングに比べると、明らかに肌合いが違う「LEO」のリアリティを支えるのは、走っても、止まっても、迷わなくても、勝手気ままでも、同じように笑えない可能性を見ている、その歌詞だ。スポーツアニメのエンディングで、何て面倒くさいことを考えているんだ、というようなことを歌って、でも、その面倒くささを、引っ掛かりながら歌うことが、スポーツの爽快感を文系的に歌う時代のエンディングテーマなのだと思う。

カップリング曲「鈍色の邂逅」、通常版のみ収録の自主製作時代の曲「anaphylaxis」、どちらも、自分たちが歌いたいことを自分たちで抱え損なっていて、イメージが先行した言葉が並ぶのに、そこに妙な説得力があるのは、言葉の意味や表現ではない部分で、演奏と言葉が、ちゃんと連動しているから。昔は、そういう状態をロックと呼んだものだけど、今は、何と呼ぶのだろう。

 

文:納富廉邦
モノ系、飲食系、伝統芸能系、本、映画、演劇、音楽、などなどをフィールドに活動するフリーライター。AllAbout男のこだわりグッズガイド、懐中雑誌ぱなし編集長などを務める。日経トレンディネット、Pdweb、夕刊フジ、ココカラなどWebや雑誌、新聞などに連載多数。近著はムック「みんなの好きな落語家」(朝日新聞出版)、共著「ScanSnapアイディアノート」(秀和システムズ)など。その他、講演、商品開発、コンサルティングなども行っている。最新刊、納富廉邦責任編集「大人のカバンの中身講座」(玄光社、1500円+税)絶賛発売中。